ISSN: 0037-3796
日本神経化学会 The Japanese Society for Neurochemistry
Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 58(1): 27-28 (2019)
doi:10.11481/topics101

研究室紹介研究室紹介

島根大学大学院医学系研究科・神経科学 島根大学大学院医学系研究科・神経・筋肉生理学

発行日:2019年6月30日Published: June 30, 2019
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島根大学医学部は、島根県出雲市に位置しています。出雲市では、日本海の豊かな自然にはぐくまれた食材が大変美味です。また、出雲大社をはじめ、歴史に親しむことができ、とても住み心地がよいところです。日本海側気候ですが、平野部での積雪はそれほど多くはありません。

島根大学医学部の開学は1976年の島根医科大学開学にさかのぼり、すでに40年あまりが過ぎました。2003年には島根大学と島根医科大学が統合し、今日に至っています。

2018年4月1日付けで、私が、島根大学医学部解剖学講座(神経科学)の教授に就任しました。生理学講座(神経・筋肉生理学)の教授も兼任し、両講座を担当しております。

我々の講座は教育においては、医学部の教育に欠くことのできない解剖学、組織学を発生生物学講座(大谷浩教授)と、生理学実習を環境生理学講座(紫藤治教授)と共に担当し、さらに、単独で神経生理学、神経解剖学を担当しており、大変な重責を担っております。とはいえ、別々の講座のままでは難しい、カリキュラムの水平統合が自然に行われつつあることや、解剖学と生理学の教員が容易にコラボレーションできる環境を持っております。

現在、解剖学講座側は、准教授の横田茂文先生、助教の有馬陽介先生、技官の2名に加え、今年の4月より大谷嘉典先生が東京薬科大学薬学部機能形態学教室(馬場広子教授)より、助教として研究室に参加いたしました。

さらに、生理学側は、助教の濱徳行先生、伊藤眞一特任准教授、技官1名に加え、慶応大学医学部生理学教室(岡野栄之教授)より、准教授として、桑子賢一郎先生に来て頂くことができました。桑子先生には、写真のとおり、生理学ユニットをお任せして、私は、解剖学側を中心に担当していく予定です。

まだまだ、両研究室とも満足に立ち上がっていません。研究費も十分ではもちろんありません。しかし、素晴らしい先生がた、学生さんのチャレンジする気持ちが推進力となって、両講座が発展していくのではないかと期待しております。

次に、自己紹介をさせて頂きます。

私は、1997年に滋賀医科大学医学部を卒業後、研修を終え、滋賀医科大学に大学院生として入学しました。大学院在学中は、大阪大学旧第二解剖学教室(遠山正彌教授:現大阪府立病院機構理事長)の特別研究学生として中枢神経系の軸索伸長阻害因子に関する共同研究に参加しました。

その時に、直接指導頂いた山下俊英助教授が千葉大学へ教授として赴任することとなり、一緒に千葉に赴任し、研究の道を志すこととなりました。山下研究室では引き続き、中枢神経系の軸索再生の研究を行いました。

その後、4年間カナダのトロント小児病院研究所にて、神経栄養因子研究、神経幹細胞研究で名高い、David Kaplan教授、Freda Miller教授のもと、p53ファミリーによる神経幹細胞制御、神経細胞死に関する研究を行いました。帰国後は、大阪大学に異動されていた山下俊英教授のもとで、発達障害(神経発達症)の研究を開始しました。その後、兵庫医科大学解剖学神経解剖部門(野口光一教授)の准教授を経て、昨年島根大学の教授に就任いたしました。

研究については、私自身は、神経系の疾病に関連した病態研究やその治療法の開発をめざし、研究を行っていきたいと考えており、2つの柱を考えております。

1つ目は、神経発達症に関する研究で、これまでの留学先、および、山下研究室で培われてきた神経幹細胞に関する技術を活かして、16p13.11や15q11-q13等の遺伝子重複症のその遺伝子重複に対して環境要因がどのように作用するのか、遺伝—環境要因が、神経前駆細胞からの神経新生やシナプス形成にどのように影響するのかといった研究を進めます。こちらは、分子生物学的解析を中心に、マウスの動物モデルを用いた研究や、ヒトES細胞の遺伝子編集による病態モデル作製、iPS細胞を用いた研究を想定しており、現状共同研究が走っております。

また、2つ目の柱として、神経再生に関わる研究を行います。私はこれまで、神経栄養因子、あるいは軸索に関する研究を長く行って参りました。参加してくださる学生さんが、やはり神経再生に興味を持つ方も多く、神経再生を促進する仕組みに着目した研究を行いたいと考えています。

今後は、出雲の落ち着いた環境で、様々なバックグラウンドを持った研究者・学生さんとともに、遺伝学的、分子生物学的な研究に加え、形態学的、生理学的研究を融合し、多角的な研究活動を行っていきたいと考えております。

最後になりましたが、日本神経化学会の諸先生方におかれましては、今後ともご指導・ご鞭撻の程何卒よろしくお願い申し上げます。

Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 58(1): 27-28 (2019)

写真1 解剖学教室研究室メンバー

(前列左から大谷助教、藤谷(筆者)、園田さん、市谷さん、持田さん、後列左から平野技官、押切くん、有馬助教、横田准教授)

Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 58(1): 27-28 (2019)

写真2 生理学教室研究室メンバー

(左から藤谷(筆者)、桑子准教授、竹田さん、濱助教、伊藤特任准教授)

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