神経化学 Bulletin of the Japanese Society for Neurochemistry

ISSN: 0037-3796
日本神経化学会 The Japanese Society for Neurochemistry
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Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 58(2): 97-98 (2019)
doi:10.11481/topics112

若手研究者育成セミナー参加レポート若手研究者育成セミナー参加レポート

若手セミナー参加レポート

大阪大学大学院医学系研究科内科系臨床医学専攻情報統合医学講座神経内科学

発行日:2019年12月30日Published: December 30, 2019
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「自分はこの先研究を続けて行って良いのだろうか?」このような不安を感じている若手研究者の方は少なくないと思います。私は医学科の出身ですが、学生自体はあまり基礎研究には興味がなく、臨床医となることしか考えていませんでした。卒業後、5年間医師として勤務した後に、大阪大学大学院に入学し初めて基礎研究に接する機会を得ました。同神経内科の池中建介先生のご指導の下にパーキンソン病患者の髄液中のα-シヌクレイン凝集体に関する研究を始めて、幸運にも4年次の春には無事に論文もアクセプトされ卒業も見えてきた時期に池中先生からこの若手セミナーに参加することを勧められました。大学院の卒業を控えた私にとっては臨床の現場に戻るか、あるいはこのまま研究を続けるかという選択に悩んでいた時期でもあり、最先端の研究者である講師の先生方や若手研究者の皆様と交流することで、今後の進路について考えを深めることができると思い、思い切って今回参加させて頂きました。

第12回若手セミナーはNeuro2019の開催前日と初日の二夜にわたり開催されました。会場のホテルに到着すると、まず同室者の二人の若手セミナー参加者と話すことができました。誰も知っている人がいない状態だったのでかなり緊張していたのですが、そこは同じ境遇の参加者同士で話が弾み、その全員がその後も同じグループに振り分けられているので、初参加の私もまず二人話したことがある人ができ安心できました。

若手セミナー初日はグループディスカッションとその後の全体討論という流れで進みます。グループディスカッションの時間では各グループに分かれ、それぞれ二名の講師の先生のお話を伺うことができました。私たちのグループでは竹居先生、和氣先生にご担当いただきました。それぞれの研究テーマについて最先端のお話を聞かせて頂くとともに、これまでの研究の軌跡を振り返りながら、その当時に何を考え、どのように実行されたのか、またその時の悩みやご苦労も共にお話頂けました。一筋縄ではいかない研究の難しさと何かを発見したときの喜び、純粋な研究の面白さに同時に触れさせてもらった時間でした。特に心に残っている言葉は「向こう見ずは天才である」というものです。決断に迫られたとき、じっくりと考慮することはもちろん重要ですが、思い切って自分が面白いと思うこと、やりたいことへ前進することの大切さを教わったように感じます。

その後の全体討論の時間は、堅い名前とは裏腹に懇親会のような雰囲気で、沢山の講師の先生方や参加者と交流することができました。グループディスカッションに続いてのグループの席で始まりましたので料理を取り分けたりしながら自然と会話が弾みました。先の時間で質問しきれなかった部分についても講師の先生方とより気さくな雰囲気でお話を伺うこともできます。参加者の自己紹介も終わる頃にはお酒も程よく回り、皆が自由に席を移りながら多くの講師の先生方とお話をする機会に恵まれました。普段の学会では壇上の遠い存在とも感じられる委員の先生方と文字通り肩を付き合わせ、時には肩を抱かれながら研究の楽しさについて夜遅くまでお話をすることができました。

翌日の学会初日、私は他のセミナー参加者がどのような研究をしているのか直接聞きたくなり、多くの参加者が発表する若手道場へとまず向かいました。セミナーの際とは皆がまた違った雰囲気で非常にレベルの高い発表や質疑応答をこなしていて、同年代や自分よりも若い研究者がこれだけ質の高い研究をしているんだと、非常に刺激を受けることができました。私は基礎系の学会は初参加だったのですが、学会場でも他のセミナー参加者と交流できたり、あるいはまた2日目のセミナーでその日の学会の感想を共有できたりなど、この若手セミナーに参加したことで学会自体もより有意義に過ごすことができたと感じます。

このセミナーを通じて私が感じたことは研究者の原動力は情熱であるということです。研究に関しては非常に精緻な理論を構築される先生方も、研究者としての人生を選択されたという点に関しては先々を見据えての合理的な判断というよりも、自身の興味があることへの情熱が基礎となっているということが、多くの先生方とのお話を通じて共通して感じられたことでした。悩んでいた私にとって今回のセミナーは、他の若手研究者の発表からは悩んでいる暇はないという刺激と、講師の先生方からは自分がやりたいことをやればいいという良い意味で開き直りのような心境を同時に得ることができた機会でした。

最後になりましたが、今回のセミナーの開催にあたり、お忙しい中ご尽力頂いた世話人の先生方並びに講師、チューターを務めてくださった先生方とご協賛頂いた企業関係者の皆様に、このような貴重な機会を頂いたことを心より御礼申し上げます。まだまだ未熟ではありますが、次回は是非学会の方でも発表をして成長した姿をご覧いただけるよう日々邁進していきたいと思います。

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