神経化学 Bulletin of the Japanese Society for Neurochemistry

ISSN: 0037-3796
日本神経化学会 The Japanese Society for Neurochemistry
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Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 60(1): 24-25 (2021)
doi:10.11481/topics134

若手研究者育成セミナー参加レポート若手研究者育成セミナー参加レポート

形が変われど理念は変わらず

東京大学大学院医学系研究科神経細胞生物学教室博士後期課程2年

発行日:2021年6月30日Published: June 30, 2021
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神経化学の若手研究者育成セミナーは未来の神経化学を担う若手研究者が集まり研鑽を積む場として神経化学会大会に併せて毎年開催されています。私は修士課程時代の指導教官である横浜市立大学の竹居光太郎先生に、同世代の研究仲間の存在が非常に重要であることをご教授いただき、神戸で開催されたセミナーに初めて参加しました。初対面の参加者や先生方に緊張しながらも、「研究者に必要とされるものは何か」について熱い討論を交わし、最後には同年代の参加者と肩を組んでお互いを勇気づけていたことは今でも鮮明に覚えています。

第13回目のセミナーは新型コロナウイルス感染症の影響により、セミナーを現地で開催することは叶いませんでした。しかしながら、神経化学会の先生方や若手育成委員会の皆様によるご尽力のおかげで、オンラインでの開催が実現しました。本稿では新しい形での開催となったセミナーに参加した私の体験を交えつつ、このセミナーが研究者を目指す、あるいは将来に悩んでいる若手にとっての道しるべとなることをお伝えできれば幸いです。

今回のセミナーは大会前日にweb会議サービスzoomを使用して全体講義とグループ講義を行うシンプルな形式でした。全体講義では国立精神・神経医療研究センターの和田圭司先生が「評価される研究とは何か」をテーマに、和田先生のご経験や最近のトレンドを交えつつご講演していただきました。特に研究を評価する人間・場所やボスの名前に埋もれず自分を認知してもらうことの重要性は、今後、研究者を目指す上で常に意識すべきことだと思い、非常に勉強になりました。また、国際的に活躍するためには時代に伴い変化する世界の価値観を理解し、表現することが必要であることも学びました。自分を表現するのが上手い人物として現代ホスト界の帝王と呼ばれるROLANDを挙げられた時は驚きましたが、初対面の人に対して相手を理解し、かつ自分を理解してもらう姿勢をもつことは研究者にも共通する部分があると思い、とても印象に残りました。

全体講義の後はグループに別れて2つの講義を受講しました。私は中枢神経系の再生について興味があるので、名古屋市立大学の金子奈穂子先生と東京医科歯科大学の味岡逸樹先生による「脳損傷後における神経再生」をテーマとした講義を受けました。金子先生は潜在的な神経再生システムについて、味岡先生は神経系がもつ潜在的な再生能力を発揮させる超分子についての研究を紹介していただき、神経系の再生を俯瞰的に考えることができました。講義の後、グループ内で各受講生が直面している問題や自身の幸せな未来像についてのフリートークが行われました。自分が考えている今後の人生設計を伝え、それに対するフィードバックをいただけたことで、「自分は研究者の道に進みたい」と改めて感じ、今できることに全力で向き合うことを決意できました。

スケジュールではグループ講義で終了の予定でしたが、山梨大学の小泉修一先生や慶應義塾大学の田中謙二先生をはじめとする多くの先生方のお力添えによってRemo Conferenceを用いた懇親会が実施されました。私は短い時間での参加となりましたが、お世話になった世話人の方や前回セミナーで会った方と話すことができ、大いに楽しむことができました。グループ講義では1グループあたり約10人であったことや時間が限られていたこともあり、若手同士が話す機会が少なかったと感じていたので、今回のようにオンラインでも従来の懇親会に近い形で交流できることは現地で集まって交流するのが難しい時代においてとても価値のあることだと感じました。

オンラインという新しい形式での開催となった若手研究者育成セミナーですが、そこには「神経化学会の先生方が若手をとても大切にしている」という変わらぬ思いがありました。新しいやり方では今までのように満足できないかもしれないと考えるより、新しいやり方での過ごし方を模索していけば、今後の若手研究者育成セミナーも従来を超える価値を生み出していけると思っています。

今回得た知見や想いを励みとして日々の研究に邁進し、我々若手が若手研究者育成セミナーを盛り上げ、神経化学研究の発展に貢献していきたいと思います。この場をお借りして、若手研究者育成セミナーの開催にご尽力いただいた全ての方に心より感謝申し上げます。

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