ISSN: 0037-3796
日本神経化学会 The Japanese Society for Neurochemistry
Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 61(2): 114-115 (2022)
doi:10.11481/topics186

若手研究者育成セミナー参加レポート若手研究者育成セミナー参加レポート

若手研究者育成セミナーに参加して研究仲間と学会の思い出がたくさんできました

同志社大学大学院 生命医科学研究科 神経病理学研究室 博士後期課程2年

発行日:2022年12月30日Published: December 30, 2022
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同志社大学大学院生命医科学研究科に所属しております、博士課程2年生の辰本彩香と申します。私は現在、宮坂知宏准教授のご指導のもと、アルツハイマー病原因タンパク質「タウ」の微小管結合様式と凝集メカニズムについて研究しています。初めて参加した第12回神経化学の若手研究者育成セミナー(以下、若手育成セミナー)で、その魅力にまんまとハマってしまい、今年で3回目の参加となりました。去年は、残念ながら先着に漏れて参加できずでしたので、少しでも若手育成セミナーに興味を持たれている方は、真っ先に申し込むことをお勧めします!

今年の第15回若手育成セミナーは、日本神経化学会だけでなく日本神経科学会および日本神経回路学会の会員も参加可能であること、そして3年ぶりの現地開催ということもあり、多くの方々と交流できると大変楽しみにしておりました。今年は絶対に先着に漏れるまいと、学会ホームページを頻繁に訪問し、申込案内が掲載された日に申込メールを送信しました。そんなこんなで若手育成セミナーへの熱意が伝わったのか、大変光栄なことに、体験記の執筆依頼を頂くことになりました。

プログラムは、NEURO2022の開催前日(6月29日)と初日(6月30日)の二夜にわたり開催されました。また、6月24日にオンラインの事前顔合わせがあったおかげで、現地では初対面の参加者とも早く打ち解けることができました。

1日目は、沖縄県市町村自治会館にてA~Gの7つのグループごとに個別セミナーが行われました。各グループは講師2人、チューターさん2・3人、参加者8人で編成されており、参加者は、事前に行われたグループ希望調査をもとに割り振られました。私が参加したAグループは、照沼美穂先生と安藤香奈絵先生のご講演を拝聴しました。

照沼先生のご講演「自分らしいキャリアを実現するために」では、学生時代、アメリカ時代、および日本帰国後の研究生活やキャリア形成について、経験談を中心にお話いただきました。私が知らなかっただけで、国内にも海外にも沢山のチャンスが広がっていること、そしてそのチャンスをものにするために必要なことを学びました。

安藤先生のご講演「神経変性疾患の発症機序に迫る:ショウジョウバエモデルを用いたアプローチ」では、「うまくいくまでやり続けてきた結果、成功を手に入れた」という言葉が印象的でした。目先の結果に一喜一憂せず、あきらめずに継続することの大切さを改めて実感しました。講義後半は「なぜ研究者になりたいのか」「いい研究者とはどのようなものか」という先生の問いに参加者が答えていきました。思いつくことは多々あったものの、いざ言葉にしようとすると却々難しい質問であると感じました。実際、この問いに正解はなく、参加者それぞれの答えが個性的で面白かったです。

2日目は、学会会場にてNEURO2022大会長である竹居光太郎先生、および、ながひさ財団理事長である永久幸範氏のご挨拶の後、北村貴司先生による全体セミナーがありました。Island Cellsの発見をはじめとするご自身の研究や、国内外のジョブハントについて、面白エピソードを交えながらのお話は大変興味深く、時間があっという間に過ぎました。

講演全体を通して一番強く感じたのは、現在研究の第一線でご活躍されている先生方は若手の頃から色々なチャレンジを積み重ねているということです。先生方の活気に鼓舞され、私もさっそく行動に移してみました。全体セミナー後、北村先生のご講演内容を参考に徹夜で書き上げたカバーレターとCVを持って、アメリカから招待講演にいらっしゃったKanaan先生のもとに突撃し、1時間ほどのインタビューとランチをご一緒させていただきました。これまで漠然と考えていた海外ポスドクというキャリアが現実的に見えてくるようになりました。

また、両日とも講演後はホテルへ移動し、23時ごろまで全体討論会を行いました。講演により学べることはもちろん沢山ありますが、若手からベテランまで研究者が熱く自由に議論するこの交流の場が、若手育成セミナーの醍醐味だと思っております。自己紹介や研究紹介、悩みやキャリア相談などを通して、グループメンバー同士の仲が深まりました。実は、以前の全体討論会をきっかけに仲良くなった友人らとも交流が続いており、今年の学会で再会して思い出話に花を咲かせたり、発表を聴講し合ったりしました。こういった研究仲間との出会いが、学会参加の楽しみや日々の研究の励みになっています。

研究の第一線で活躍する先生方のお話を聞きたい、研究や進路について悩みを抱えているけれど相談相手がいない、もっと研究仲間を増やしたい、そんな人はぜひ若手育成セミナーに参加してみてください。きっと、私のように何か得られるものがあるはずです!

最後になりましたが、コロナ禍においても現地開催のため企画・運営にご尽力くださった関係者の皆様に心より感謝申し上げます。先生方の若手研究者を応援する気持ちがたくさん詰まったこの素敵なイベントがずっと続く事を祈っています。

Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 61(2): 114-115 (2022)

全体討論会後に撮影したAグループの皆さんとの記念写真(前列左から3番目本人)

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