ISSN: 0037-3796
日本神経化学会 The Japanese Society for Neurochemistry
Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 63(2): 74-75 (2024)
doi:10.11481/topics222

若手研究者育成セミナー参加レポート若手研究者育成セミナー参加レポート

第17回 若手研究者育成セミナー参加記縦横のコミュニティ形成

山梨大学大学院 総合研究部 医学域 薬理学講座 博士課程3年

発行日:2024年12月30日Published: December 30, 2024
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若手研究者育成セミナーLOVERのボス;小泉修一先生からご紹介いただいて初めて参加した第14回(奈良大会)から本セミナーの魅力にはまり、今回で4回目の参加でした。今年は、Neuro2024初日の夜に、一日集中型で開催されました(福岡サンパレスホテル)。今年からの新たな試みとして、グループセッションは、講師の先生と参加者が議論しやすいように少人数制で、かつ多くの人と交流できるように2回に分けて行われました。私は、「病態時におけるアストロサイト–ミエリン相互作用」に興味を持っています。そこで「アストロサイト–シナプス間のタンパク質相互作用研究」の第一線でご活躍されている九州大学・高野哲也先生、ミエリン研究を代表に「脳疾患研究」を先導するNCNP・村松里衣子先生から研究やキャリアについて学びたいと考え、ご両名を講師として志望しました。偉大な先生方を前に緊張しましたが、少人数制のおかげで発言し易く、これまでのご研究やご経験、その経緯について事細かくお聞きすることができました。高野先生からは、「まず知りたいことの青写真を決め、次にアプローチを考える(開発する)」と、これまでのご経験を交えながらアイデアの練り方を教わりました。Split-TurboID法という画期的な技術もその発想から生まれたのだと伺い、感銘を受けました。高野先生は大学院生・ポスドク時代に、気になる先生のもとに突撃しに行っていたと言い、私も積極的に行く姿勢を見習いたいと強く思いました。村松先生からは、研究や留学について「やらないで後悔するより、やって後悔した方が良いから、とにかく挑戦してみたら?」と勇気づけられるお言葉を頂戴しました。ご高名な先生方から鼓舞され、モチベーションが爆上がりしました。村松先生は、育児とトップレベルの研究を両立されており、効率的な仕事術に感服しました。松村先生に憧れているという女性研究者の方も多いです。

本セミナーでは、「縦のつながり(講師–参加者)」に加えて、「横のつながり(参加者–参加者)」も促進されます。グループセッション後には、全体討論会が開かれ、多くの先生方や同年代の研究者とお話する機会を頂きました。今回は合同大会ということもあって、これまでお会いする機会の少なかった方々とも交流を深めることができました。本セミナーで知り合った人を通じて、また新たに知人ができて…と次々に輪が広がり、指数関数的に仲間が増えています。そのおかげで、若手道場の発表を聞きに来てくれる人も相加的・相乗的に増え、沢山のコメントやアドバイスを頂戴し、充実の時間を過ごせました。私は、同年代の研究者は「ライバル」というよりむしろ「同志」だと考えています。研究は楽しいですが、毎日すべてが楽しいわけではありません。そんな時に、若手育成セミナーで出会った元気な人たちを思い出し、自分も頑張ろう!と励みになります。互いにエールを送り合い、切磋琢磨しながら同世代の強力なチームを形成していきたいと考えており、若手同士の「横のつながり」は特に大事にしています。講師の先生から教わったことを胸に、若手で一致団結して神経科学をさらに盛り上げていきたいと考えています。

本セミナーに参加している方々は知りたい・学びたい・貢献したい、と意欲的な人が多いので、そのような方々と語り合うことが本当に楽しく、いくら時間があっても話し足りません。そこで、本セミナーで出会った同志たちとセミナー後に、‘延長戦’と称して二次会を行いました。研究にまつわる話であったり、そうではない話であったり…。過去にはラーメン屋で朝5時までグリアの話で盛り上がっていたこともあります(変態です)。これも若手育成セミナーの醍醐味なのではないかと思います。早くも次回のセミナーが待ち遠しいです。

若手研究者育成セミナーは、日本神経化学会がモットーに掲げる「若手育成」のプロジェクトのひとつで、講師の先生方は、懇切丁寧なご指導をしてくださいます。将来の進路に関係なく、全ての若手研究者にオススメです。私が、本セミナーに参加して良かったことを以下に簡単に列挙します。

  • 脳科学トップランナーから研究やこれまでのご経験を学べる。
  • キャリアプランについて相談できる(性別、アカデミア・企業問わず)。
  • 縦横のつながりを深められる。
  • 自分の長所、短所について気付ける。
  • 自分やその研究をアピールできる。

最後に、ご多忙のところ素晴らしい本セミナーを企画・運営・サポートしてくださったNeuro2024大会長の小泉修一先生、岡部繁男先生、山末英典先生、世話人代表の増田隆博先生、副代表の坂井謙斗先生、世話人の先生方、チューターの先生方、講師の先生方、一般財団法人 ながひさ科学振興財団様に厚く感謝申し上げます。

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