ISSN: 0037-3796
日本神経化学会 The Japanese Society for Neurochemistry
Bulletin of Japanese Society for Neurochemistry 63(2): 76-77 (2024)
doi:10.11481/topics223

若手研究者育成セミナー参加レポート若手研究者育成セミナー参加レポート

若手研究者育成セミナーに参加して

九州大学大学院医学研究院 神経内科学

発行日:2024年12月30日Published: December 30, 2024
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九州大学大学院医学研究院 神経内科学 大学院生の高瀬エズギです。

現在、磯部紀子教授・山﨑亮准教授のご指導のもと、多発性硬化症など中枢神経系の免疫疾患の基礎メカニズムについて研究しています。今年、教授からの勧めもあり、初めて若手研究者セミナーに参加しました。このセミナーに参加したいと思った理由は主に2つあります。

第一に、海外の医学部を卒業し、進学のために来日した外国人として、博士号取得も間近に迫っています。しかし、研究室の仲間が様々な日本の大学について、「この大学は特定のプロトコールに優れている」とか、「あの大学は特定の実験に特化した道具を持っている」とか、「この大学は特定の分野に特化している」といった話をするとき、私は自分のネットワークのギャップを感じることがありました。また、他の大学で特定のテーマについて研究している先輩や後輩の話もよく聞きます。私は日本の大学を卒業したことがないので、日本の他の大学や研究者のことをよく知り、日本の研究状況について情報を得る必要性を感じていました。そのため、セミナーに参加した第一の目的は、各分野で高い能力を持つ研究者とのネットワークを広げること、そして自分の知識を深めることでした。

第二に、研究者としてのキャリアを追求することに情熱を燃やす女性として、この分野でロールモデルとなる人物を持つことは、特に私がアカデミアの世界に移行していく上で極めて重要だと考えたからです。私は、すでにこの道を成功裏に歩んできた人たちから学び、彼らの経験や、どのようにして現在の地位を獲得したのかについて見識を深めたいと思いました。そうすることで、私自身の道しるべとなったらと考えました。

2024年若手研究者セミナーは福岡で開催された。参加者は希望調査に基づいていくつかのグループに分けられ、各グループは講師2人、チューター1人、学生8~9人で構成されました。事前に参加したい講師を2人選ぶ機会が設けられていました。私は九州大学の高野哲也先生と国立精神・神経医療研究センターの村松里衣子先生のセッションに参加させていただきました。

高野哲也先生は、私が研究で直面している問題に取り組むための方法を開発しているので、先生のお話を聴いてとてもインスピレーションを受けました。研究テーマの選び方をお聞きしたところ、「自分が一番知りたいことを追求する」というお答えでした。目まぐるしく変化する研究環境の中でも、自分の専門分野にこだわり、一貫性を保ち続けたことが成功につながったのだと思いました。これからどのように研究を続けていけばいいのか悩んだとき、先生の言葉は私を導いてくれると思います。

村松里衣子先生のセッションはとても刺激的で、特に研究開発のタイムラインを時系列でとてもわかりやすく説明してくださったことが印象に残っています。研究者がどのようにして一貫した画期的な研究を成し遂げることができるのか、そのヒントを与えていただきました。セッション中、自分の研究でいくつかチェックすべきアイデアまで得ることができました。また、仕事と私生活を見事に両立させている女性研究者としてもインスピレーションを受けました。村松里衣子先生は私のアイドルです!

今回の第17回若手研究者育成セミナーは、日本神経化学会大会・日本神経科学大会・日本生物学的精神医学会年会の会員を参加可能とあったため、多くの方々と交流できることを大変楽しみにしていました。私はこのセミナーにとても熱中していたので、体験記の執筆を依頼され光栄に思います。

セミナーの後の全体討論会では、日本全国のさまざまな大学の研究者と知り合い、さまざまな研究分野の新しいトピックについて知識を得ることができました。時間が経つのがあっという間で、研究者の方々と何時間でもおしゃべりしていたいくらいでした。また、すでに博士号を取得し、キャリアをスタートさせた先輩の研究者の方々にも出会うことができました。キャリア形成のことだけでなく、女性科学者としてワークライフバランスを保つことについても貴重なアドバイスを受けることができたのは幸運だったと思います。生涯の友情や将来の共同研究につながるようなつながりもできたと思います。日本で研究キャリアを積みたいと考えている私にとって、このセミナーは素晴らしい機会となりました。

最後に、若手研究者プログラムから得たいくつかの重要な教訓を紹介したいです。そのひとつは、画期的な研究を実現するためのコラボレーションの重要性です。自分の研究室でできないことがあれば、他の研究者に相談することは成功への近道だと考えました。もうひとつ強調したいのは、教授陣と若手研究者たちの思いやりと熱意を目の当たりにしたことです。研究には浮き沈みがあり、常に最高の結果が得られるとは限りません。しかし、私はこのプログラムから、最終的に良い結果を出すために、いかに一貫性を保ち、モチベーションを維持するかを学びました。今回のセミナーを通して、新しい視点からのアイデアや知見を得ることができ、これからのキャリアの進む道が見えたことが私にとって大きな収穫となりました。

最後になりましたが、このセミナーに申し込むにあたり、私を支えてくださり、若手研究者を見守ってくださった大会長の増田隆博先生(九州大学)と坂井謙斗先生(山梨大学)に感謝の意を表したいと思います。このセミナーを企画してくださった講師、チューター、オーガナイザー、スタッフ、協賛企業の皆様、そしてセミナー中にできた気さくで親切な友人たちに感謝申し上げます。

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